O House 窓に切り取られた原風景 
2008- 2009
東京都

O Houseは、近接する環状線の騒音や、2項道路を挟んで木賃アパートが近接するプライバシーなどの諸問題に対し、まずは壁で敷地を囲い、そこから 必要な光、風、緑、空を選別していくという庇護の空間をイメージしてつくられた都市型住宅です。

外観の閉じた重たい印象とは対照的に、玄関を入ると常に視線の先にある開口部から差し込む光に導かれ、最上階で光に包まれた真っ白な子供部屋に辿りつきます。これらの光は、シンプルな構成の中に施された左官や釉薬、オイルステインが織りなす斑との相乗効果によって、独特の風合いと手作り感による緩さを生み出しています。生活の中で生じる様々なノイズを吸収することで、クライアント固有の「生活感」という調和を生み出す働きを担っています。

さらに、これらの開口部からは、光だけでなく、隣地の庭の緑も取り込みました。それは、いずれは土地が分筆され、高密度な住宅が建ってしまう不可避な状況を認識しつつ、幼少期の子供たちの原風景として、少しでも緑の記憶が残せればという願いからでもありました。原風景は、物理的に失われてしまうからこそ、深く心に刻み込まれ、年をおうごとにその奥行きを増していくものです。

また、個展のためにしばしば創作活動を行っていたクライアントの為に、リビングからは死角でありながら、キッチンと表裏一体となった小さなアトリエを設けました。創作の場というのは、創作者以外からは混沌に映るものですが、竣工時のこぎれいな状況をベンチマークとした混沌さの振れ幅は、創作の調子を計るバロメータでもあり、それを許容する計画は、デザインよりも重要なことでした。なお、アトリエで創作された作品は、ガレージ空間と連続して設えた玄関土間のギャラリーにも展示できるよう、壁補強や照明設備も施されています。

用途:戸建住宅|構造:在来軸組構法|規模:地上3階建て|
設計・監理:きみづかアーキテクツ|構造:エスフォルム
写真:安田 誠、その他

CASE STUDIES

著作:スミツグイエ 
東日本大震災からの古民家復興

とくラボ 
2016-in progress

Azito
2015

イグネ再生構想 by Kmizuka Architects

仙台・住み継ぐ家 イグネ復興計画
2014-2016

家を生み出すチカラ展 by Kmizuka Architects

家を生み出すチカラ展
2012

Garden Spa #2 by by Kmizuka Architects

Garden Spa #1
2011

Garden Spa #1 by Kmizuka Architects

Garden Spa #2
2011

M house by Kmizuka Architects

M House
2011

O House
2008-2009

Y house by Kmizuka Architects

Y House
2007-2008

Villa Cocoro 
2007-2008

insurance bank prototype #2 by Kmizuka Architects

Insurance Bank Prototype #2 
2007

insurance bank prototype #1 by Kmizuka Architects

Insurance Bank Prototype #1 
2007

insurance prototypes concept by Kmizuka Architects

Insurance Bank Concept 
2006