箱階段の家 
2016 – 2017
東京都

この住まいづくりは、最大容積率や高さ制限だけで建物規模を決めるといったデベロッパー的な発想は一旦脇に置き、クライアントが当初、本当に必要と見極めた30坪に満たない延べ床面積に対する試行錯誤からはじまりました。プライバシーを確保しつつ、内部の気積を最大限に確保し、効果的な採光を計画することで、閉塞感の無い住環境の実現を目指しました。

この住宅を特徴づけている建物中央に据えた箱階段は、平面的にも断面的にも開放されたつくりとなっており、住まい全体を束ねる役割を担っています。

1階は基礎断熱による床下のない土間床を採用し、十分な階高を確保することで、箱階段の中間踊り場から、浴室とトイレに直接アクセス可能としました。これによって、余分な廊下を削り、玄関ホールに、書斎を兼ねた収納付きの土間空間を設えるだけの余裕を生み出しています。

この箱階段は、2階でキッチンとリビングダイニングに挟まれたLDKを構成する一部となっています。クライアントは座卓によるリビングダイニングを切望していたため、これによって、居室のスペースを削ることなく対面キッチンとの適度な間合いの確保も実現しました。さらに、リビングダイニングに体感的な広がりを得るため、箱階段上の小屋裏を吹き抜き、リビングダイニングの天井と一体化しています。

また、建物正面が西に面し、3方を隣家に囲まれていることから、西側はインナーバルコニーとブライドにより日射を制御する一方、長手(南北)方向に片流れ屋根を掛け、キッチン上部に設けた小屋裏収納の南側小屋壁や、階段吹き抜けの東側小屋壁に設けた高窓によって、朝、昼、夕と時間帯に応じた自然光がリビングダイニングへと導かれるよう計画しました。

予算の厳しいプロジェクトでしたが、クライアントは有言実行型の芯の強い方だったので、本体工事との責任の所在を明確にした上で、造作や建具の一部を分離発注、設備器具の施主支給、そして、外構フェンスの材料手配を含む、単なる思い出作りの域を超えた本格的なDIYなどを取り入れました。これによって、開始当初は厳しいと思われた予算の問題も克服し、望まれた住まいの土台が築けたのではないかと思います。

用途:個人住宅/構造:在来軸組構法・地上2階建て
設計・監理:きみづかアーキテクツ
写真:安田 誠、その他

CASE STUDIES

著作:スミツグイエ 
東日本大震災からの古民家復興

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