どんなに耐力壁がしっかりと施工されても、地震時に建物に生じる水平力が、それらの壁に伝わり、最終的には基礎に伝達されていかなければ意味がありません。そのためには、2階の床や小屋床、屋根といった水平面の剛性(変形のしにくさ)が必要になります。比較的壁の少ない開放的な空間ではこの水平面の剛性は非常に重要です。
今回の計画ではどうなっているかというと、まず各階の床面は、24㎜厚の構造合板を、910グリッドに組まれた格子床組に対して打ち付けています。根太がないので根太レス構法と呼ばれていますが、現代の在来軸組住宅では今や一般的なものとなりました。昔のように、梁の上に根太を敷きその上に薄い合板を張った床よりも剛性があるので耐力壁に応力を伝えるのには効果的です。
また、小屋床と屋根については小屋床には火打梁、屋根の野地板は24㎜の構造合板によって固められています。
垂木は軒桁や棟に対して、落とし込まれているか、もしくは、上の写真のように垂木間に面戸(転び止め)が施されることにより、屋根の剛性を上げています。また、これは剛床とは別の話になりますが、これらの垂木は、桁や母屋、そして棟に対して、原則、上からタルキックという構造ビスで留め付けることで、風による負圧に耐えられるようにしています。(庇のある軒桁については2本打ちしています。)
主要な耐力壁のある上部や、棟下などには、小屋筋交い等を設け、小屋組み全体の剛性を上げ、耐力壁に応力が伝わるよう配慮してあります。
また、このような剛床でもう一つ重要な点は、床面に生じた応力のひずみは、最終的には外周部にまわっていくので、その際に梁が外れないようにしておく必要があります。梁の継手や、柱との仕口に対して十分な金物による補強が必要になります。
場所によっては、梁の継手の両面に、接合金物を設置するよう指定している個所がいくつかあります。たとえば、上の写真は、建て方時に撮影された、外周梁の継手ですが、両面に取り付ける場合の外側は、外壁の面材が張られると確認できなくなってしまうので、事前に確認しています。