古民家のリノベーションでは、極力古い軸組みをありのままに見せるということを心がけていましたが、もともとの軸組が腐食し、新しい部材に交換したエリアに関しては、仕上げで覆った方が良い浴室として計画することにしました。
当初は、場所にちなんだ沢田石で床、壁を覆うことを考え、この浴室を“石の間”と名付け、採掘場のような半露天風呂をイメージしました。実施設計段階で沢田石は、メンテナンスのことを配慮して磁器タイルに変更しましたが、浴槽の縁と自湯口だけは沢田石を残しました。
自湯口は完全オリジナルで、無垢石を加工して作ったものです。現場で石職人の方にスケッチを渡したら、断られるかなと思いきや、快くつくってくれました。このオリジナルの自湯口があるのとないのとでは、この浴室の印象は全く異なるものとなったでしょう。
Photo: Jimmy Cohrssen, Kimizuka Architects (2)