家づくりはクライアントとの対話の上に成り立つものなので、通常出来るだけシンプルな要素を共通言語としてデザインを進めます。一方、シンプルなデザインは一歩間違えると、小奇麗でスタイリッシュなだけで、生活の中で生じる様々な“モノ”のノイズと馴染まない傾向もあります。
O Houseでは、“ステイン調”をキーワードに、墨漆喰や、釉薬の斑のある磁器タイル、現場塗りのオイルステインなど、近づけば近づくほど、不均質さや手作り感(粗さ)を感じる仕上げを敢えて採用しています。
その結果、引っ越し前から使われていた年季の入った古いソファや、ごくごく普通のママチャリが、違和感なく馴染む空間が出来ました。もちろん、将来的に気分を変えて、新しくコーディネートされた空間に住みたくなった場合でも、なんなくフィットするでしょう。
“ステイン調”には、どちらにも行ける許容力があるのです。
Photo: Makoto Yasuda/ Nakasa&Partners (1), Kimizuka Architects