窓ガラス

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かなり時間が空いてしまいました。

実際の現場の進捗とはタイムラグがありますが、今日は窓ガラスについてのお話です。設計監理の補足ブログということで、今回もとても地味な話題を持ってきました。

現場でガラスが建て込まれた際には、上の写真のような紙が貼ってあります。設計監理者としては、ここに記載されているガラスの仕様が、設計の仕様と合致しているか確認を行います。ガラス本体にも刻印があるものがほとんどですが、光の加減によってとてもとても見ずらく時間もかかるので、通常はこのような紙が貼られている間に確認してしまいます。

今回は断熱性能的には、空気層12mm以上のLowE遮熱の複層ガラスで設計されています。今回のチェックのポイントのひとつに、LowEガラスが外側に構成されているかというのがあります。内側になっている場合は、遮熱性能がまったく変わってしまします。寒冷地の場合は遮熱よりも断熱を優先するため、LowEガラスを内側に構成にすることも多く、図面を見ないで施工する業者だったり、発注前に施工図や仕様確認を行わない業者だと間違えることがあります。

もっとも、今回のように、LowE遮熱の複層ガラスにしたからといって、断熱的に不十分というわけではありません。むしろ、今回の場合は、LowE遮熱の複層ガラスにしなければ、遮熱的に十分でないと考えたため、この様な仕様になっています。

このようなLowEガラスは、ひと昔前まではとても高価なものでしたが、最近の住宅市場では標準スペックになりつつあります。省エネ市場の発展速度は凄まじいものがあり、省エネ基準も頻繁に更新されていますが、今後も、さらにハイスペックなガラスが比較的安く市場に流通するようになるのかもしれません。

設備機器類もそうですが、そういう新陳代謝の激しいものが、建築の扱うべき本質なのか、わからなくなることがあります。個人的には、少なくとも性能が建築の本質だなんて思っていませんが、むしろ、当然にクリアしていなければならない問題として考えるとき、その基準をどこに据えるべきかは難しいところです。個人住宅の場合、杓子定規でなく、クライアントの価値観や豊かさの尺度によってもその基準にバリエーションがあっても良いのではないかという意見が正直なところです。