バルコニー防水

水張試験 少しわかりずらいですが、 陸屋根(バルコニー)FRP防水の水張試験状況です。水上まで水を張り、24h放置して水位が下がっていないことを確認しています。

防水は、品確法によって施工者が瑕疵担保責任を問われる工事です。また、瑕疵担保履行法という法律によって、工務店は瑕疵担保保証(ハウスメーカー等は供託が多い)に入っています。

この瑕疵担保保証が義務化されたことは、良い面、悪い面があります。保険が効くからという理由で防水に対する施工管理が甘い現場も少なからずあるように思います。また、昔と比べれると標準的な防水の技術も向上しているので、下請けに一任しているという状況も現実的には多い印象を持っています。

だからというわけではないですが、私は設計者として、陸屋根の水張試験を工務店が行うことを特記仕様書で指定するようにしています。指定しないと、現場でやってくれない工務店も少なくないからです。しかし、水張試験を行うというのは、元請である工務店が、防水工事の施工品質を管理するうえでの、必要最低限のモラルです。それは、下請け業者の行った防水工事の受け入れ検査のようなものだからです。NGとなることが稀だからといって、確認しないというのは、元請として品質管理していないのと同じです。

また、水張り試験が面倒だからと言って、ホースで水をかけるだけの試験しかしない工務店もいますが、それも本来ではありません。なぜならば、陸屋根におけるFRP防水の勾配というのは、水はけのためにつけているだけで、品質的には勾配ゼロで水が溜まり、プール状態になっても漏水しないというものでなければならないからです。

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上の写真はパラペット部分の防水処理です。今回は、手摺壁ではなく、高さの低いパラペットのため、FRP防水と、外壁の透湿防水紙をブチルテープで一体化しています。この上に通気胴縁を兼ねたパラペット笠木の受け下地を、同じくブチルテープを挟んで打ち付けます。外壁通気層を伝ってきた空気を、パラペットの外側ではなく、内側から抜けるようにするのは、嵐のときなどに吹き付けた雨が、パラペットから侵入する可能性を防ぐためです。

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これは別の部位ですが、パラペット笠木の受け下地兼通気胴縁を入れるとこのようになります。この上に笠木が取り付けられます。

こういった諸作業は、大工さんがやってくれるわけですが、元請業者である工務店が指示して確認しなければなりません。そして、そういった一連の処理が行われたかをさらに第三者の視点から確認するのが我々設計事務所の監理になります。このようなディテールは、設計図書に描いておけば良いとか、瑕疵担保保証の設計施工基準任せにしておけばよいというものではなく、現場で再度確認をしながら進めないと、きちんと施工されずに隠ぺい部となってしまうケースもあります。