耐力壁について

先日の雨の中、躯体検査を行いました。細かい直しもほぼ終えて、工事は着々と進んでいます。
今回は、耐力壁の話をしたいと思います。この建物は、3種類の耐力要素を組み合わせて、何種類かの耐力壁をつくっています。

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これは、外壁の面材耐力要素に使用しているダイライトによる大壁です。(大壁というのは柱や梁の外に面材が張ってある壁を言います。)厚みは12㎜で、N50釘が所定のピッチで打ち付けられています。ダイライトは無機質系の耐力壁なので防腐防蟻処理の必要がありません。また、透湿性も高いので、室内の湿気が壁の内部に侵入した際も、合板と比べると内部結露がしにくいという特徴があります。

合板

次のこれは、構造合板による大壁床勝ち仕様の耐力要素です。数は少ないですが、内部や雁行した外壁の耐力壁に用いています。厚みは12㎜で、CN50釘が所定のピッチで打ち付けられています。紛らわしいですが、この耐力壁だけ釘の種類が異なっています。ダイライトや合板の床勝ち仕様は大臣認定の耐力壁の為、釘の種類を変えることは出来ません。CN釘とN釘の違いは釘の頭でわかります。緑色でフラットな頭で50と印があるのがCN50釘です。一方、N50釘は網目が付いた黒い頭に50と記されています。

合板中桟

合板は梁と梁の間を一枚モノで施工できる場合は良いですが、中間で継ぐ場合には受枠となる横桟の最低サイズも決まっています。しばしば、この横桟を2本束ねて施工されているケースがありますが、その場合は上下が分断されてしまっているので認定されている強度が得られません。

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そして、お馴染みの筋交いです。今回の筋交いは、写真のようにたすき掛けが基本ですが、一部片筋交いをペアで用いているところがあります。片筋交いだけの現場もありますが、その場合には筋交いの向きのバランスを配慮する必要があります。

今回の設計では、これら3種類の要素を組み合わせた、合計6種類の耐力壁を、平面計画の機能性を損なわない範囲で出来るだけバランスよく配置しています。