東伊豆の家(性能監理編)」カテゴリーアーカイブ

上棟

OLYMPUS DIGITAL CAMERA先週の土曜日の時点で土台を組み始め、今回はクレーンを使わず人力で建て方を行っているのですが、わずか4日でここまで出来上がってしまいました。通常、クレーンを使って建て方をする場合は、1~2日程度で基本的な骨組を上げた後は、大工さんが2人ぐらいになってゆっくりと進むのですが、今回は人力で棟上げした勢いで、ここまでやりあげてしまったようです。現場は東京では見られないような活気がありました。大工さんの棟梁も「大変だったよ!」と言いつつも生き生きして見えました。

この日は、屋根の野地板を張る前に、垂木や梁の上に乗った垂木の間に入れる面戸の留め付け状況を確認するため、事前に日程を調整して訪れたのですが、現場担当者がコントロール出来ないほど現場が早く進行し、屋根の野地板はもとより、防水層(アスファルトフェルト)まで張られてしまった状況でした。そんなわけで、写真を撮っておいたからというので、屋根についてはそれで確認することになりました。

現場が早く進むのはとても良いことですし、写真で確認できるならそれでも良いのですが、隠ぺいされる部分の確認が事後報告ばかりになると、間違っていたり不備があった時には、やり直しという二度手間になってしまいます。そして、それによって現場の士気が下がってしまわないかが不安なところです。

とは言え、翌日から雨が降るという天気予報だったので、その前に勾配屋根の防水まで終えたことは、たとえ一部にやり直しが出たとしても、総合的には良かったことなのかもしれません。

全体の骨格が組みあがったので、これから耐力壁や細かな接合金物が取り付けられていきます。

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ちなみに、これは、昨年末に大工さんの工場で見た屋根の隅木です。軒天井との取り合いで、隅木が天井裏に納まるようにカットされています。

先行防腐防蟻処理

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実は昨年度末、基礎完了の確認時に大工さんの工場に案内してもらい、製材の一部を見せてもらいました。

手前に置いてあるのは屋根の隅木(べいまつ)です。南西の庇構造の要です。プレカットで対応できないので手刻みで加工してくれています。刻んであるところに垂木が掛かります。先端(手前)にテーパーがついていますが、これは次回説明します。

そして、奥に積んであるのが土台(ヒノキ)です。これは、プレカットされたものに、防蟻措置を施したものです。今回使用するのは人体に害のないホウ素系防腐防蟻剤です。色が白いので近くで見ないとよくわかりませんが、きちんと塗られています。

基礎断熱工法の場合は床下空間と屋内空間が連続する部分があるので、土台等の防腐防蟻剤の選定には注意を払いたいところです。一般的に使用されている防腐防蟻剤はいわゆる農薬です。今回のホウ素系防腐防蟻剤は、農薬と違って揮発・蒸発せず、染み込むことによって性能を発揮するものなので、空気を汚さず効果も長期間にわたって持続します。

土台には事前に措置を施し、現場で施工後に再度塗ります。たまに、土台の底の事前措置をせずに、土台を設置してから防腐防蟻剤を塗っている施工者がいますが、その場合は底の部分は塗られていません。

もっとも、ヒノキ土台なら防腐防蟻処理は必ずしも必要ないという考え方もあるのですが、実施設計段階の見積もり時に、施工者にリサーチをしたところ、この辺ではヒノキでも防腐防蟻処理はするということだったのでそのような設計になっています。

基礎立ち上がり断熱

基礎立ち上がり断熱

外周基礎の立ち上がりに断熱材をとりつけています。今回一部に高基礎がありますが、施工上、土台や大引よりも下の断熱材は先行して取り付けられます。雨に濡れても性能的に問題はないポリスチレンフォーム(俗に言うスタイロフォーム)です。

スタイロフォーム

今回は建物全体の性能設計上、押出法ポリスチレンフォーム3種bの50㎜厚を使用しています。ポリスチレンフォームにもいろいろと種類があります。断熱材が入っていれば良いという設計であれば別ですが、ある程度の性能設計も行っている場合には、必ず仕様を確認する必要があります。しかしながら、こうやって、一つ一つ設計監理者が確認するのは、施工者を信頼していないからではありません。そう思う施工者もいるようですが、それはプロとして根本的に間違った解釈です。誰にだって勘違いや思い込み、うっかり忘れてしまうことはあります。設計者と施工者が別人格である複雑な現場であればなおさらです。いつもやっていることとは違うことだってあるはずです。だからみんなで確認しあって出来るだけミスを減らすことによって、より完成度の高いものを実現しようということでしかありません。間違っても、ばれなければそのまま納品してしまえばよいと考える施工者であれば別ですが、きちんとしたものを納品することに誇りを持っている施工者であれば、第3者チェックは煙たいものではないはずです。実際、施工の現場というのはスポーツと同じようにリカバリーの連続で、最後には一定以上のレベルが実現されるよう努力するわけです。お互い信用しているから確認もせず丸投げだ、というような現場は、必ず致命的なミスが起き、しかもそれは隠ぺいされてしまうでしょう。

気密パッキン

これは基礎立ち上がりの上端と土台の間に敷く気密パッキンです。今回は、高基礎の部分はもとより、床下を室内空間と一体として考える基礎断熱工法を採用しているため、土台下から空気が室内に入らないようにしてあります。

基礎工事完了

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基礎工事完了しました。

基礎工事というのは、施工者にとっては上部躯体工事前の初めのミッションですが、基礎工事がきちんと施工できる施工者は、上部躯体工事もきちんとできることが多いです。その意味では今回はとても良かったと思っています。この「きちんと」というのは、単なる表層的な問題ではなく、細部にわたる調整のプロセスの質を差しています。

単純に出来上がっているように見えますが、基礎工事には様々な専門工事業者が関係しています。そして、其々の工事は独立しているものではなく互いに連関しているものなので、相互の調整や現場での確認が必要になります。また、基礎の施工図の調整にあたっては、これからはじまる上部躯体工事の施工図も検討したうえで行われています。そういった業者間調整の質は、元請の建設会社の施工管理能力にかかっています。元請の建設会社が本来の仕事である施工管理を怠り、専門業者に丸投げして進めてしまうと、似て非なる基礎が作られてしまう場合もあります。

我々設計事務所の監理は、実施設計図書に基づき、設計意図を伝え、施工図による調整内容を協議し、現場でそれがきちんと施工されているかを施工者ではない第3者の目から確認することです。しかし、実際に作るのは各種専門業者であり、現場で彼らを束ねるのは元請の建設会社です。したがって、施工者が設計意図に従って施工を行うという前提がなければ、我々の監理は機能しませんし、実施設計図書や、施工図での打ち合わせは何の意味もなくなってしまいます。今回の基礎工事は、そういう意味で、元請の建設会社をはじめ、皆さんとても頑張ってくれました。結果もそうですが、これに至るまでの工事打ち合わせのプロセスも誠実に対応頂いたので、今後の上部躯体工事にもとても期待が持てます。

アンカーボルトの確認

型枠状況2回目の耐圧盤コンクリート打設を終え、基礎の立ち上がり部分の型枠を設置している状況です。

土台や、柱脚部の引き抜き金物用のアンカーボルトの設置の確認のために現場に足を運んだのですが、残念ながら予定より遅れてまだ途中でした。こういうことはよくあるので、こういう場合の確認方法について今日はお話しします。

まず、今回設置予定のアンカーボルトが現場に搬入されているかを確認します。搬入されていない場合は論外ですが、きちんと搬入されていました。今回は5種類のアンカーボルトがあります。

高強度ボルト

まず、これは、今回使う、柱脚引き抜き金物用のアンカーボルトのうち、高耐力部分に使う特殊なものです。今回は高耐力部分が3か所あります。このタイプのアンカーボルトには筋交いと取り合う部分に取り付けるタイプと、筋交いと取り合わない部分に取り付けるタイプがあり、長さが異なります。今回は筋交いではなく、面材のみのところに取り付けるタイプのものなので、その長さを確認します。

一般HD用アンカーボルト

次に、これらは、今回使う、一般の柱脚引き抜き金物用のアンカーボルトです。短いタイプは筋交いと取り合わない部分に取り付けるもの、長いタイプは筋交いと取り合う部分に取り付けるタイプです。

このほかに、独立柱の引き抜き金物用アンカーボルトが1か所だけあります。

土台アンカーボルト

最後に、土台に取り付けるアンカーボルトです。

このように、搬入されているアンカーボルトの仕様と長さを確認しておくことで、次回現場で施工済みのアンカーボルトの頭ので寸法から逆算することによって、基礎コンクリートにどれだけの長さが埋め込まれているかが確認できます。アンカーボルトは埋め込み長さが命ですが、今回は、其々、一般の埋め込み長さよりも短くて良い特殊なアンカーボルトを採用しています。というのは、初めに耐圧盤のコンクリートを打ってからアンカーボルトを設置するため、埋め込み長さが長いタイプのアンカーボルトだと曲げて設置しなくてはならないところもあり、相当な手間だからです。なお、実際にはアンカーボルトには最低埋め込み長さのポイントに刻印がされているので、よほどのことがない限りは間違えることはありません。したがって、アンカーボルトの仕様が設計同等以上のものかを確認しておくことが重要となります。

ボルト位置マーキング

次に、現場ではアンカーボルトの設置はまだ未完了でしたが、これからアンカーボルトを取り付ける鉄筋にマーキングが施されていたので、そのマーキングを一通り確認しました。右側は引き抜き金物用のアンカーボルト位置、左側は土台用のアンカーボルト位置です。

これらのマーキングの位置に、所定のアンカーボルトを、所定の埋め込み長さをみて設置していくわけですが、もう一つ重要なポイントは、引き抜き金物用のアンカーボルトとたすき掛けの筋交いが干渉しないようにアンカーボルトを設置することです。今回は数カ所そういうところがありますが、これについても施工者とはしつこいくらいに打ち合わせてきました。今回は、その施工図を打ち合わせてきた元請担当者が自らアンカーボルトをセットするということでしたが、これはとても良いことだと思います。まあ、設置するのは誰であれ、元請業者が最終確認するという施工者としての自主管理をきちんとしていればよいだけの話ですが、何かと下請けに丸投げ状態になりチェックが甘くなることが多いので、元請業者で、かつ、施工図を描いた担当者自らが、アンカーボルトの設置をするというのは好感が持てます。

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ちなみにこれは、後日施工者から送られてきたアンカーボルト設置状況の写真です。高耐力柱脚引き抜き金物用のアンカーボルトと、土台アンカーボルトが設置されています。

 

耐圧盤コンクリート打設

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先日、施工者より送られてきました、耐圧盤コンクリートの1回目打設状況の写真です。

今回は段差があるので、耐圧盤は2回に分けて打ちます。この後にメインの耐圧盤を打ち、内部の型枠を完成させて、立ち上がりの打設へと進みます。 OLYMPUS DIGITAL CAMERA

これはスランプ値の確認写真です。今回は基礎コンクリートのスランプ値を15㎝で指定していますので現場搬入時に確認してもらっています。スランプ値は、小さなほど密実なコンクリートということになります。スランプ値は通常、15㎝と18㎝を使い分けて設計します。たかだか3㎝の差ですが、強度的には同じであっても、密実であるほど防水性が高くなり、中性化も遅らせることが出来ます。一方で、スランプ値が小さいということは、流動性が低くなるので打設はしにくくなります。そのような理由から、地面に接する基礎や地下躯体には15㎝、上部躯体には18㎝とすることがよくあります。もっとも、木造の基礎程度だと18㎝でやってしまう場合も多いですが、今回は15㎝で指定しています。

何気なく打設されていますが、ここに至るまでには、事前にJIS認定工場である生コン業者から配合計画書を提出してもらい、設計の仕様と合ったものが計画されているかを確認しています。また、打設後には納品書を提出するよう指示しています。圧縮強度試験については、構造計算を要さない木造2階建ての場合は義務付けられていませんが、今回は、メインの耐圧盤打設時の時にサンプルを採取し試験を行うことを構造設計者と取り決めています。ちなみに、今回設計基準強度は24N/mm2ですが、品質管理強度として+3、冬場の温度補正として+3となり、30N/mm2で配合計画が行われています。

配筋検査

構造設計担当者と共に配筋検査を行ってきました。手直しを指示したところがありますが、配筋については特に大きな問題は見られませんでした。

今日は配筋検査がメインで、あまり写真が撮影できなかったので、前回の組みあがっていた部分の写真も用いながら説明したいと思います。

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耐圧盤の配筋です。構造設計者の工学的判断によれば、場所によっては、鉄筋のサイズを細くできたのですが、地盤保証に入る際にD13の200㎜ピッチが条件となったので、すべての耐圧盤を同じ配筋にしています。

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前回撮影した高基礎部分の配筋です。この部分だけ縦筋のピッチが150㎜で設計されています。(一般部は200㎜ピッチ。)

ところで、実際の配筋というのは、構造的には必要はないが施工上必要な「段取り筋」というものも入っています。どれが段取り筋でどれが構造の配筋かは設計者と施工者にしかわからないかもしれません。たとえば、上から3本目に流してある鉄筋は段取り筋です。

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これも前回撮影した、地中梁と立ち上がりの配筋です。通常、べた基礎というのは、耐圧盤と基礎梁によって構成されています。鉄筋コンクリート造の建物の床と梁の関係を上下逆さにしたようなイメージです。木造の場合、立ち上がり部分を基礎梁として考えます。しかし、部分的にこのように立ち上がりがない場所があります。ガレージや玄関、人通口などの部分です。そういう場所は、耐圧盤よりも下のレベルだけで基礎梁を構成することになります。こういう部分を想定して、基礎梁の根伐り底は、耐圧盤の根伐り底よりも下げてあります。

立ち上がりのない部分の基礎梁は、梁せいが小さくなります。梁せいが小さくなると、テコの原理で、水平方向の鉄筋の負担する力が増えるので、主筋の本数が増えます。上の写真で立ち上がりのある部分の一番上と下に流れているのが主筋です。これが、立ち上がりのないこの部分では3本上下に流しています。梁成が小さいことから納まり上、横に並べてあるので、それらをリング状の鉄筋で束ねて基礎梁をつくっているというわけです。このリング状の鉄筋と、立ち上がり部分にある縦筋は同じ意味の部材で、梁に生じるせん断力に対抗する補強筋(あばら筋)です。しかし、実質的には、木造2階建て程度の場合、構造計算をしてみるとコンクリートのせん断力だけで十分な場合も多く、あばら筋にせん断力を期待しない構造設計者もいます。OLYMPUS DIGITAL CAMERA

これは人通口廻りの配筋ですが、こういう写真をいきなり見せられても何が何だかわからないと思います。しかし、すべて、前述した内容で説明がつく配筋です。

木造2階建ての建築は建築基準法上、構造計算を必要としていません。その代わりに仕様規定があるわけですが、べた基礎に関する仕様規定に関しては不十分なため、力学的に成り立っていない基礎配筋がよく見られます。たとえば、立ち上がりのない部分の配筋がスラブ配筋のみになっているケースです。つまりそれは、鉄筋コンクリート造の建物の床と梁の関係でたとえるなら、梁が途中で止まってなくなってしまっているのと同じです。立ち上がりがない部分は本来、基礎梁の「開口」ではなくて「断絶」です。誰にもチェックされないし、そう問題になることもないからという理由かもしれませんが、そもそも、耐震設計そのものが稀にくる大地震に対するものなのだから、今まで問題になったことがないというような理屈で理論的におかしなことを続けるのはどうかと思います。

構造設計者を入れて設計する場合は、構造計算をしない場合においても、力学的根拠のある設計を行おうとするので、そういう態度で望むことはできません。施工者には嫌がられることもありますが、私の事務所では、計画内容によって、木造2階建てでも構造設計者とチームを組むようにしています。しかし、構造設計者というのは、人によって言うことが違う場合がよくあります。どれが正しくて間違っているというのではなく、それぞれ考え方が違うからです。だから、構造設計を担当した者に現場も確認してもらうことによって、一貫した考え方のものができるのです。

鉄筋の本数や径、ピッチといったものは、図面と照合すればよいだけの話で、誰が見ても同じです。一方、継手や定着といったものは、単に長さが取れていればよいという部分ばかりではなく、力の流れを意識したときに、どのように、どこからの長さを確保するかということも大切です。継手や定着には標準要領というものがありますが、実際の現場では、標準要領通りにいかない部分もあります。構造設計者に現場を見てもらうことは、そういうシチュエーションでも意義のあることです。

基礎配筋状況

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今日は大工工事、板金工事、建具・造作家具工事の打ち合わせの帰り、現場の配筋状況を見てきました。何でも、配筋工のスケジュールが変わったらしく思ったより早く組み上がり、あとは手直しを配筋検査までに終わらるような勢いでした。

外周にまわっているオレンジ色の板は、基礎外周面の型枠です。床下に隠れない露出した仕上げ面となるので、写真のような塗装合板型枠を使用することで、比較的きれいな打ち放し面をつくることができます。

スラブ配筋の下に点在している黒い塊は、鉄筋の下にコンクリートによる一定のかぶり厚が確保されるためのスペーサーです。基礎立ち上がり配筋についている白いリングも同様です。立ち上がりの型枠をつくり、コンクリートを打設する際に、鉄筋のばたつきが拘束されることで、必要なかぶり厚を確保できます。

鉄筋コンクリートの鉄筋は、強アルカリ性であるコンクリートの中では酸化被膜を形成し、酸化しにくくなっています。つまり、錆にくくなっています。しかし、コンクリートは常に大気にさらされているので、二酸化炭素の影響を少なからず受け、長い年月をかけて中性化していきます。かぶり厚が不足していると、コンクリートの中性化に伴って鉄筋の酸化被膜が破壊される時期も早くなります。そして、鉄筋の酸化が進行すると錆の膨らみ等によって、コンクリートがひび割れを起こし、そこからまた二酸化炭素が侵入することで、更に鉄筋の酸化が進行していく。。という悪循環に陥るというわけです。このため、かぶり厚には一定の基準が設けられており、写真の中にある各種スペーサーはそのためにあります。

なお、コンクリート打設前に鉄筋に生じるレベルの錆については問題はなく、そのままにしておいてよいとされています。むしろ、コンクリートの付着は良くなります。ただし、錆の塊が付着しているような場合は除去します。

防湿フィルム・捨コン打設状況

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根伐り確認の日から数日後。施工者に頼んで送ってもらった写真です。転圧された砕石の上に防湿フィルムを敷き詰め、捨てコンクリートを打設している状況です。

建て替え前の古家は、床がかなり傷んでいたと聞いていますが、恐らく布基礎で地面からの湿気が床下に充満し、床組の一部は腐食や蟻害にあっていたと思われます。この敷地は崖の下側なので、地面からの湿気の多さだけでなく、床下換気もうまく機能しなかったのでしょう。

今回は写真のように防湿フィルムを敷き詰めた上にべた基礎を乗せ、さらに基礎断熱工法を採用するので、地面からの湿気はほぼ完全に遮ることができます。基礎の防湿フィルムは現代住宅では一般的なので普段は気に留めることもないですが、このような敷地で行うことにはそれなりに重みと価値が感じられます。

コストが厳しいプロジェクトの場合は、基礎スラブ下の捨コンクリートを打たない場合もありますが、配筋工事の際に防湿フィルムが破れてしまったり、砕石の転圧がうまくできていないで凹凸が多いと、底盤配筋のかぶり厚が不十分な個所が出てしまうなど品質管理上の問題があるので、出来るだけ捨コンを打つのが良いと考えています。

根伐り状況確認

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根伐りを行い砕石を敷き転圧された状況です。

小さな穴がところどころに見えますが、これは砕石の厚みを確認するためのものです。

中央にある大きめの穴は、基礎直下に岩盤が掛かっている個所があったため、それを削ったところです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAこれがその削ったところです。

今回の敷地は全般的にかなり良い地盤であることが調査によって明らかになっていますが、表土全体のバランスで、局所的に硬い地盤(今回は岩盤)が基礎にかなり近接した位置にあると、大きな地震時にそこに応力が集中し、基礎にひびが入る可能性もあります。そこで削ることになったわけですが、あまり深く掘りすぎると、逆に地盤改良が必要になってしまうので、浅すぎず、深すぎずのバランスを構造家や施工者、地盤保証会社と話し合い決めました。

岩盤2

削った後は砕石で埋め戻し、しっかりと転圧締め固めを行いました。

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今回の基礎は、計画上の段差があるので、各箇所で所定の深さが掘られているか確認をしました。基礎天端に合わせてつくられている遣り方に水糸をはり、そこから底盤までの距離を測り確認しました。

勘違いされているような気がしていたところが案の定勘違いされていたので是正をお願いしました。